Untouchable Space

ある日、ライブドア堀江社長から手紙が来た。
「超エネルギーレーザー:SEL(セル)」を開発したからそれのセミナーに来ませんか?という内容だった。
何でも5泊6日のセミナーらしい。

で、セミナーに行ったのだが、最前列に社員らしき5人の人が座っていた。

「これがSELです」と紹介された。銀色の携帯電話形をしていて、携帯のアンテナに相当する部分からレーザーが発射され、ダイアルに相当する部分でエネルギーを調整できるらしい。
SELは極限まで増幅された強烈なレーザー光による光エネルギーにより、標的となったものは
無機物なら一瞬で蒸発、有機物なら一瞬で炭化・切断出来てしまうらしい。

セミナーはあっという間に終了し、終わりか。と思った次の瞬間、
堀江が「最後にSELの実演をします。高田さん(仮名)来てください」
と言い、最前列の社員5人のうちの少し禿げかかった初老の社員を呼ぶ。
そしていすに座らせ、堀江はセミナーの題材であるSELを取り出し、
それを高田に向かって放つ。
次の瞬間、まばゆいばかりの閃光に包まれ、高田は一瞬でSELの光エネルギーにより炭化し、あっという間に僅かばかりの灰が残るだけとなった。

俺はてっきり悲鳴が上がるものと思っていた。
だって目の前で堀江は人を殺したのだぞ!
俺はただ目の前で行われていた虐殺の凄惨さを目にし、悲鳴を上げた。
しかし、他のセミナーの受講者は歓声を上げた。

堀江は「セミナー中は、SELの実験台として、毎日一人の社員に協力していただきます。」と言い、セミナーを終了させた。

受講者達は先程からの歓声をさらに大きくした。
俺は呆然自失で、その場に立ち尽くしていた。

自分達が殺されるとわかっているはずの社員4人達はどういうわけか楽しそうに会話をしている。

そのとき俺はやっと気づいた。
こいつら全員が堀江によって集団催眠をかけられていることを。
俺だけが何らかのきっかけで催眠を免れたのだ。

このままじゃ殺される!
そう思い、俺はすぐに荷物をまとめセミナーが行われているビルからの脱出を図った。
8・7・6・5・4・3・2・・・
段々と数字が小さくなっていくエレベーターの中で、俺は生きて帰れる嬉しさや、殺戮の凄惨さ・・・そういったいろいろなことを考えていた。

・・・1・・・
エレベーターが開いた瞬間、俺は数人の男達に囲まれた。
俺は正面にいた男を見て、愕然とした。
その男は、堀江だった。

「堀江・・・」
「SELの秘密を知った今、もう君は生きて帰れないよ」
表世界でビジネスの天才と評されている人間が、裏では虐殺のためのアイテムを作っている。
その事実に、俺はただただ驚愕し、その場にへなへなと座り込む。
次の瞬間、四方八方からSELの銃口が向けられた。


───fin───


書いてみたが、やっぱりキモ。